WORKS

作家

田中 慎弥

1972年山口県生れ。山口県立下関中央工業高校卒業後、就職もせずアルバイトもせず、大学へ行くわけでもなく、本を読んで小説を書くだけの生活を14年間続ける。2005年「冷たい水の羊」で新潮新人賞。2008年「蛹」で川端康成文学賞。同年単行本『切れた鎖』で三島由紀夫賞。2012年「共喰い」で芥川龍之介賞。単行本に『図書準備室』『神様のいない日本シリーズ』『犬と鴉』等。パソコン、携帯電話といった端末を持たず、自宅の電話やテレビの使い方もおぼつかないまま、紙と鉛筆で小説を書き続ける日々。
燃える家 (講談社)[単行本]

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俺たちは生まれつき、捨てられている――。本州西端、800年前に安徳天皇が没した海辺の街で暮らす高校生・滝本徹は、出生の秘密を抱えていた。ニューヨークをテロが襲った年のクリスマス、徹の親友・相沢良男は世界の無意味を唱え、クリスチャンの国語教師、山根忍へのレイプ計画を進める。一方、地元選出の政治家である徹の実父・倉田正司が権力の中枢へ向かうと共に、対抗勢力の陰謀がうごめき始める...。この世を動かす絶対的な力とは、暴力か、権力か、性の力か?人間の悪に対して神は何をなすのか?現代日本のテーマを根源から問う傑作長篇小説。Amazon.co.jp


共喰い (集英社文庫) [文庫]

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第146回(2012)芥川賞受賞作
話題の芥川賞受賞作、文庫化! セックスのときに女を殴る父と右手が義手の母。自分は父とは違うと思えば思うほど、遠馬は血のしがらみに翻弄されて──。2013年映画化(青山真治監督)の話題作。瀬戸内寂聴氏との対談を新たに収録。 Amazon.co.jp


実験(新潮文庫)[文庫]

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新作が書けぬ小説家・下村に届いた旧友春男の近況。長く疎遠だった春男は、三十を過ぎうつ病を発症したという。青春の華やぎを一切拒絶して引きこもる息子を案じ、両親の相談を受けた下村は、筆の進まぬ窮状を脱する好機と、ある不穏な「実験」を思いつくが...。潮風と砂が吹きつける海峡の町で、孤独且つ平和という泥濘であがく人々の精神の危機を冷徹にえぐる表題作ほか2篇。 Amazon.co.jp


犬と鴉 (講談社文庫) [文庫]

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戦争へ行った父、父を追って戻らない母、取り残された息子。終戦を迎え、黒い犬が人々を牙にかけていく。生還し古い図書館に篭城して悪逆の限りを尽くす父と対峙するため、息子は丘の上の図書館へ通い続ける。父と息子、母と息子の息詰まる絆を描いた「血脈」「聖書の煙草」を同時収録。 Amazon.co.jp


夜蜘蛛 (文藝春秋)[単行本]

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日中戦争で傷を負い不名誉な形で戦線を離脱、複雑な胸中を隠したまま戦後を過ごしてきた「父」が、昭和天皇の死を受けてとった行動とは――。田中氏自身を彷彿とさせる作家が受け取った読者からの手紙、という「枠物語」の手法をとりながら展開される数奇な物語。「父と息子」「戦争の記憶」「介護」といった骨太のテーマが、不気味な蜘蛛のイメージと共に描かれる。また、一種のミステリーとしても読める構造をもっており、文学の醍醐味をとことん味わわさせてくれる珠玉の一作。カバー装画は線香の炎で紙を焼き、繊細なイメージを描き出す異色のアーティスト・市川孝典さんの作品。 Amazon.co.jp


図書準備室(新潮文庫)[文庫]

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なぜ30歳を過ぎても、私は働かず母の金で酒を飲んでいるのか。それはあの目に出会してしまったから。中学の古参教師に告白させた生涯の罪を、虚無的に冷笑しつつ、不敵な価値転倒を企てる野心的表題作。級友たちの生け贄として凄惨ないじめの標的にされた少年が、独自の「論理」を通じて生存の暗部に迫る、新潮新人賞受賞作「冷たい水の羊」を併録。気鋭の小説家のデビュー作品集。 Amazon.co.jp


これからもそうだ(西日本新聞社)[単行本]

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「死にたくなければ一流の小説を書くしかない。そしてそれは、私にとって死ぬほど難しい行為なのだ」。芥川賞受賞作家、初のエッセイ集。高校卒業後、一切職に就くことなく自宅で小説を書き続けたという異色の経歴で知られる作家が、異邦人としていくつかの街をさまよい歩く。思索の旅路で作家は何と出合うのか。彼の目に、街はどう映るのか─。新聞連載随筆「見切り発車」をはじめ、これまでに発表されたエッセイを多数収録。 作家として生きていくためのもがき、一途さが、飾らない真っすぐな言葉でつづられた傑作選。「私は書く以外に仕事をしておらず、する気もない。 書くことと書いた作品によってしか責任はとれない。それが出来ないとなれば、生きてゆく資格がない」(本文より)Amazon.co.jp


神様のいない日本シリーズ (文春文庫) [文庫]

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球賭博絡みのトラブルで失踪した父親から少年に葉書が届く。「野球をやってるか」。野球好きだった父親の願いをきくべきか、野球を嫌悪する母親に従うべきか。おりしも1986年、日本シリーズでは、大逆転劇が起ころうとしていた。はたして少年の身にも奇跡は訪れるのか。芥川賞作家の描く父と子の迫真の物語。 Amazon.co.jp


田中慎弥の掌劇場(毎日新聞社)[単行本]

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1600字読み切りで展開される著者初の短篇集は、怖ろしく、あり得なく、しかも美しく静謐な田中ワールド──。〈生老病死〉〈結婚・離婚〉〈殺人・自死〉など日常における非日常を味わえる37篇に加え、あとがきには自らの告白も収めた刺激的な一冊。毎日新聞西部本社版好評連載、待望の単行本化! Amazon.co.jp


切れた鎖 (新潮文庫) [単行本]

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第34回(2008)川端康成文学賞・第21回(2008)三島由紀夫賞受賞
海峡の漁村・赤間関を、コンクリの町に変えた桜井の家。昔日の繁栄は去り、一人娘の梅代は、出戻った娘と孫娘の3人で日を過ごす。半島から流れついたようにいつの間にか隣地に建った教会を憎悪しながら......。因習に満ちた共同体の崩壊を描く表題作ほか、変態する甲虫に社会化される自己への懐疑を投影した「蛹」など、ゼロ年代を牽引する若き実力作家の川端賞・三島賞同時受賞作! Amazon.co.jp


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